『イリヤの空、UFOの夏』専門用語集

ページ情報
制作日
2003-10-26
最終更新日
2004-08-26
参照用URI
http://www.arielworks.net/works/ufo
ページ内目次

はじめに

この用語集はイリヤの空の中で比較的専門性が高いと思われる言葉を集めたものです。自分自身、わからないで調べた言葉もあるので、間違った記述が有る可能性が高いです。おかしな解説を見つけたら連絡をいただければ幸いです。

(全体的に未完成)

1巻

p.27

口径が9mmで装弾数16発の「もっと見てはいけない物」
おそらく9mm Lugarだと思うのですが、装弾数16発だとどの拳銃かまでは判断し切れません。グロックあたりが怪しいですが、チェンバー内の一発を含めるのならベレッタM9あたりもありえます。9mm Lugarは非常にポピュラーな弾丸で一般に「パラベラム」と呼ばれ、バイオハザードに出てくるベレッタのマガジンに入っているのと同じものです。

p.113

BARCAP(Barrier Combat Air Patrol)
Conbat Air Patrol(CAP)とは「(戦闘)空中哨戒」の略で特定の空域を哨戒し、必要があれば敵を排除、制空権を確保することをいいます。BIRCAPとは作中では「要線戦闘空中哨戒」と訳されていますが、護衛対象に対する敵機の侵入を阻止するということで「阻止戦闘空中哨戒」と訳されることが多いようです。ちなみにAWACSなど価値の高いものを護衛することは「HAVCAP(High Value Asset protection Combat)」と呼ばれます。CAP任務は空母の護衛など、任務の状況によっては単純なパトロールになることがあります。そのため、必ずしも敵と遭遇するわけではなく、行って帰ってくるだけ、になることも多々あります。

p.158

人間工学的にデザインしつくされた意外な姿形
現実の銃がモデルだとしたらFN社のP90あたりがモデルだと思われます。人間工学に基づいてデザインされおり、マガジンの配置や給弾方法に特徴があります。使用する5.7mm弾はライフル弾クラスの初速があり、非常に高い貫通性を誇っています。また、薬莢が真下に排出されるのが特徴です。
ボール
フルメタルジャケット弾のことです。フルメタルジャケットとはリード(メインとなる鉛の部分)をメタルで覆う軍用ライフルで使われる標準的な弾頭です。連射したときに熱で弾頭が溶けるのを防ぎ、弾頭の強度を上げること貫通力を高める働きがあります。
ボットトックス弾
おそらく、BOT TOX(Botulinum Toxin)でボツリヌス毒素の事だと思うのですが、自動小銃の弾に使うのでしょうか?たぶんグレネードかなんかなんでしょう。ボツリヌス毒素は食中毒の原因のなる毒素で、呼吸困難などを引き起こします。

p.164

プラスチックのような素材でできている
最近の銃は非常に軽量化が進んでおり、ポリマーフレームや強化プラスティックでできてるものが非常に多くなっています。重さも1kgを軽く下回る物ばかりなので片手で楽にもてます。
海抜高度
その名のとおり、海面を0とした高度です。当然、山地では高度3000mを飛行していてもすぐ下に地面がある、という事もありえます。地表面から高度はレーダー高度計などを使い測定します。
対気速度
ピトー管と呼ばれるセンサーに当たる空気の圧力を測定し、大気との速度差を表示します。車が表示する対地速度と違い風速があるところではその分変化します。
コンパスゲージ
機首の向いている方角が表示されます
AOAゲージ
主翼の気流に対する迎え角を表示します。AOAは「Angle of Attack」の略で、この値にが大きくなると揚力が大きくなると同時に抵抗も大きくなります。
フライトパスマーカー
現在進んでいる方位を表示します
タドボール
目的地のある方向を表示します。
ファンネル
機関砲を使うときに表示される機体の動きにあわせて表示される線をファンネルといいます。大抵は2本表示され、線と線の間に目標を挟むようにして目標を狙います。
ガンクロス
機関砲が発射される方向を示します。だいたいHUDの真ん中にあり、機体の動きにあわせて移動します。
EEGS(Enhanced Envelope Guns Sight)
ファンネルを使って機関砲を使うときのHUDのモードをいいます。Snapshoot LineやLCOSなど、他にもモードはあります。
園原TACAN
TACAN(Tactical Air Navigation)とは戦術航法装置の事を言います。主に軍事目的に利用される航法装置で、TACAN局から発信されるUHF(極超短波)を元に自分の位地と方位を計測します。
「JTIDSのアップデート情報~今のブルズアイは園原」
JTIDS(Joint Tactical Infomation Distribution System)は「統合戦術情報分配システム」という訳になります。戦闘機やAWACS、空母、基地など様々な兵器、施設をネットワークで結び、戦術情報を一括管理します。
後半は「園原から方位020度、距離40海里(1nm=1.852Km、40nm=74.08km)の高度12万フィート(1ft=30.48cm、12万ft=36576m)に敵の機影が5機、不明機が1機。」になります。絶対的な座標ではなくあらかじめ決めてあるブルズアイと呼ばれる特定の地点からの位置で位置情報を伝えることにより、無線が敵に傍受された際に情報が漏れるのを防いでいます。

p.169

HUD(Head Up Display)
視線上の透明な板に諸情報を表示する装置です。その名の通り頭を上げて正面を見たまま情報を読み取ることが出来ます。情報を最近は大分ポピュラーになりました。
MFD(Multi Function Display)
現代の戦闘機のコックピットには昔のような丸型計器はほとんどなく、レーダーや赤外線システム、兵装の状況などの情報を必要に応じて表示するMFD(多目的表示器)がメインになっています。主にブラウン管や液晶モニターが使われることからこのようなコックピットを「グラスコックピット」といいます。
DED(Data Entry Display)
これも情報を表示する計器の1つです。TACAN(航法システム)やIFF(敵味方識別装置)、EWS(電子戦システム)などに関する情報を入力、表示します。
ADI(Attitude Direction Indicator)
姿勢指示器。期待の姿勢(ロール、ピッチ)や場合によってはILSなどの情報が表示されます。
VVI(Vertival Velocity Indicator)
昇降計です。降下と上昇の割合を表示します。
HSI(Horizontal Aituation Indicator)
水平姿勢指示計、つまり方位磁石のようなものです。TACANやINSの情報を表示することもあります。
アドバンスト=JSTARS
JSTARSとは「Joint Surveillance And Target Acquisition Radar System」の略で、日本語に直すと「統合目標攻撃監視レーダーシステム」になり、ボーイング707を母体として胴体下部にマルチモードレーダーを搭載したE-8という機体がこれに当たります。このレーダーは移動目標を発見、追捕するドップラーレーダーの他に合成開口レーダーにもなり、目標の精細な情報の取得、高解像度の地図が製作可能です。簡単に言えば対地AWACSで、JTIDSと連携して攻撃機に指示を伝えます。作中では「アドバンスト」が着いているので、現在のJSTARSをさらに改良したものだと思われます。
AWACS(Airborne Warning And Control System)
早期警戒管制機。背中に巨大な円盤を乗せた空飛ぶレーダーサイトです。機種によっては大きな棒状のレーダーを搭載していることもあります。機体にもよりますが、半径400km程度の距離を索敵し、600以上の目標を同時に追跡可能です。JTIDSと連携し、データリンクする事で通常のレーダーしか装備していない戦闘機でも広範囲の視界を与えることができます。
ピクチャーコール
AWACSに対してレーダーの索敵範囲内の情報を要請します。
ピクチャークリアー
ピクチャーコールに対して、敵がいない場合はこの返事を返します。

2巻

p.63

エンジンのブラストや翼の乱流
飛行中の航空機同士が接近しすぎると後方乱気流によってエンジンストールなどに見舞われます。映画「トップガン」で主人公のF-14が墜落したのはこれが原因でした。旅客機が離陸時に事故を起こす原因のひとつでもあり、距離が十分に開いていても影響を及ぼすこともあります。
コブラとかフック
水平飛行中に機首を上げると通常は上昇しますが、機首上げを急激に行うことで翼を失速させそのまま水平に飛行し、その後水平飛行に復帰します。機首が上を向いているのにそのまままっすぐ進むという力技でロシアのSu-27が得意とします。垂直面ではなく水平面に行うとフックになります。
ドップラーをある程度無効化するマヌーバ
現代の戦闘機のレーダーは電波の反射を単純に捉えるものではなく、移動しているものから反射してきた波のドップラー効果(発信源に近づいているものに波が当たると波長が短くなり、遠ざかってるものに当たると長くなる。)を計算して目標を検出します。レーダー波の進行方向に対して垂直に移動した場合、ドップラー現象は発生しない(横移動なので近づきも遠ざかりもしない)のでレーダーに映らなくなります。これをビーム起動といいます。
運動エネルギー
空戦において運動エネルギーと位置エネルギーの変換は非常に重要な要素です。一般的にドッグファイトでは上空にいる側が有利になります。コブラやフックを行うと急激に増える空気抵抗(翼がただの板になってしまう)により運動エネルギーが消費されます。

p.64

パッシブロックオン
パッシブロックオンとはその名のとおり相手の発する何らかの情報を受動的(passive)に捕らえることを言います。こちらからは何も出さないので原理的には敵に気づかれることなくロックオンすることが可能です。パッシブホーミングとしては敵の発する熱を追跡するIR(赤外線)ミサイルか、レーダーサイトの発する電波に沿って飛行し破壊する空対地ミサイルが一般的です。アクティブ(自分でレーダー波を出し相手をさがす)ホーミングのミサイルにも相手の出すECMの電波(妨害電波)を検出し追跡するホームオンジャミングと呼ばれる機能を持つものがあります。
ラムジェット動力の長距離AAM
「Ks-172 AAM-L」と呼ばれるSu-27が搭載するミサイルがモデルと思われます。一般的に長距離ミサイルにはアクティブもしくはセミアクティブ方式が多いのですが、このミサイルは敵のAWACSのレーダー波をバッシブロックオンしマッハ5程度の速度で飛行、撃墜します。非常に大型で400Kmの射程距離を持つといわれています。
YAGレーザー
YAGとはイットリウム・アルミニウム・ガーネット(Yttrium Aluminium Garnet)の略のようです。固体レーザーの代表で、現在では主に医療分野や溶接などで活躍しているようです。
巡航アクティブデコイ
デコイとは囮のことです。戦闘機の場合は曳航式デコイと呼ばれるものが主流で、偽の電波(反射波)を発する囮をワイヤーで牽引します。レーダーが使用する電波は波長の長い波数帯で、細かい目標の識別は不可能です。結果、偽の反射波と目標の戦闘機から跳ね返ってくる本当の反射波が「大きな1つの目標」に見え、結果的にミサイルが直撃する確立を下げることが可能になります。作品中の巡航アクティブデコイは名前からして自立飛行可能な子機の様な囮だと思われます。
スパイク
RWRに捕捉したレーダー波の発生源のことを指します。通常RWR自身には敵と見方の識別機能は付いていませんが、後述のようにレーダー波を発生している機体の種類は判別が可能です。
脅威ライブラリ
RWRと呼ばれる敵のレーダー波を検出してその波を発生させているレーダーの種類を判別する装置が戦闘機には搭載されています。敵のレーダーの種類を判別する際には、検出した波とあらかじめ記録してあるサンプルとの照らし合わせが必要で、それに利用されるのが脅威ライブラリです。
オーロラ
ロッキードマーチン社が開発していたとされる超音速偵察機で、マッハ6(資料によっては20)でるとの噂です。本当に開発されたのかは謎に包まれており、詳細はハッキリしていません。噂によるとエリア51で目撃されたとか、されないとか。現在ではB-2爆撃機の入札の際に使われたコードネームだという事になっています。
スカンクワークス
ロッキード・マーチン社の開発チームでU-2偵察機やマッハ3で飛行できることで有名なSR-71を開発しています。ステルスの代名詞となったF-117やFA-22を開発したのもこのチームです。

p.137

オーバー・ザ・トップ機動
正直あまり聞いたことがないのですがインメルマンターンと同じもののようです。インメルマンターンとは水平飛行から上昇、そのまま反転し(この時点で背面飛行になっている)、その後180度ロール(機体を横転)することで水平飛行にもどり、今来た方向に戻る機動を言います。セミは上昇中に天井に激突したようです。
スプリットS
オーバー・ザ・トップ機動とは逆に、180度ロールして背面飛行の状態から降下(操作的には機首を上げる事になる)、反転し、今来た方向へ戻る機動です。高度が下がる分の位置エネルギーが速度エネルギーに変換され、加速することが出来ます。

3巻

p.84

LSO
Landing Signal Officerの略で着艦誘導士官のことです。空母に着艦する際に誘導を行う管制官です。
ATC
Air-Traffic Controlの略で航空管制を意味します。名前のとおりです。たしかに、「いってらっしゃい」や「おかえりなさい」を言ってくれるでしょうが、決まり文句でもあります。LSOやATCが挨拶をしてくれる人の代表に挙がるあたりが伊里野の生活を表しています。

p.85

バンディット
一般に「敵機」を表します。訓練中に仮想敵機として呼ばれているのでしょうか。コールサインにしてはちょっと変?
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